今回は、SOUNDPEATSの新しいイヤホンをレビューします。
筆者は以前にもSOUNDPEATSのイヤホン『CCイヤーカフ型イヤホン』をレビューしています。こちらのモデルは、軽い装着感ですっきりした音質がすっかり気に入って、もっぱらパソコンのモニターとして毎日使用しています。何時間装着しても耳が痛くならないのが最高です^^
今回のレビュー依頼は『Clip1』というモデルで、同じイヤーカフ型ですが、8月25日に発売されたばかりの真っ新な新製品で、なんと「ハイレゾ対応」です。また「ダイナミックイコライザー」搭載で、イヤーカフ型なのにしっかり低音の厚みがある…という珍しいタイプのイヤホンです。
実際に『Clip1』を使った印象を綴ってみようと思います。
SOUNDPEATS Clip1の基本スペックと特徴
「Clip1」はどのようなイヤホンなんでしょうか。
まずは、基本的な特徴をまとめます。
外観チェック




ケースは小さめの鶏卵という感じで、背面には充電用のUSB-Cポートを備えます。

Clip1の形状は、今年2月に発売された「UU」に非常に似ています。


つまりSOUNDPEATS製カフ型イヤホンの第3弾にして、ハイレゾ対応の高音質イヤホンとして登場したのが「Clip1」というわけです。
高音質~ハイレゾ×LDAC、Dolby Audio

何といっても「Clip1」の最大の特徴は「高音質」で、具体的には高音質コーデック「LDAC」に対応しており、最大96kH/24bitのハイレゾサウンドを楽しめます。これはCDの音質を上回るスペックです。
筆者は「CC」も使っていますが、装着感がほとんどない点や、オープン型の割にしっかり音楽を聴ける点などが気に入っていますが、「Clip1」を聞いた途端『次元が違う』と感じました。
音質の良さもさることながら、画像にもあるように「低温重視」の点でCCとはまったく別物です。

さらに、専用アプリから「Dolby Audio」をONにすると、広がりを持った臨場感あふれるサウンドを楽しむことができます。
Dolby Audioは、米Dolby Laboratoriesが開発した音響技術で、映画・音楽・ゲームなどのコンテンツに臨場感あるサウンド効果を提供するためのオーディオ処理技術です。複数の音声チャンネルをデジタルでエンコードし、スピーカーで再生することで、チャンネルベースでリアルなサラウンドサウンドを実現します。
Dolby Audioは、Dolby Atmosのような「オブジェクトベース」ではなく、従来型のチャンネルベースの技術であり、テレビやスマートフォンなど幅広い機器に搭載可能です。
迫力サウンド~DynamicEQ™ Pro

「CC」もそうですが、概してイヤーカフ型は装着感に特化していて、音質については自ずと限界がある、特に低音については難しい…。そんな風に思っていたのですが「Clip1」ではまったく裏切られました。
アプリで『ダイナミックイコライザー』をONにすると、ある程度口径の大きなドライバーに匹敵するような、豊かで力感のある低音がグッと押し出されてきます。
低音が出るといったもブンブンとだらしなく響くのではなく、ベースラインが聞き分けられるような粒立ちのよい低音が小気味よいのです。

使用されているドライバーはチタンPVDコーティングの12mmφの大口径ドライバーです。
ちなみに、DynamicEQ™ Pr アルゴリズムは、iPhoneのAACコーデックでも有効です。iPhoneは好きだけどAACしか選べないから…という方にもおすすめです。
筆者が最も印象深かったのは、この「DynamicEQ™ Pro」です。CCは、よい音なんですが迫力がないし音の厚みと言うか没入感については正直あきらめがありました。「イヤーカフ型なんだからしかたない」「周囲の音が聞こえて軽い装着感とのトレードオフだな」と。
しかし、Clip1+DynamicEQ™ Proは、CCであきらめていた「音の厚み」や「没入感」が大幅に改善、少し音量を抑え気味にすれば屋外での使用で周囲の音に気を配りながら使用できますし、室内では音量をあげて豊かな低音を堪能することも可能です。それでいて圧迫感が少なく充分に軽いと感じる装着感を維持しているのは、なかなか全妙なバランスと感じます。
専用アプリで簡単設定

専用アプリと連携すれば、Bluetoothのペアリングから、各種設定を簡単に行えます。また、イヤホンへのタッチ操作のON/OFFや、動作の割り当てなども自分好みに割り振ることができます。
またイヤホン本体とケースの充電状態が分かるので、充電タイミングを明確に把握できます。ちなみにClip1は、10分間の充電で最大2時間も使用することが可能です。
便利~左右を区別せずに使える、落下もお知らせ

筆者が非常に便利と思っているのが、イヤホンの左右を自動識別してくれる機能なんです。
ケースを開けて最初に手にしたイヤホン(2つ同時でも)を左右どちらでも好きな方に装着すれば、イヤホンが左右を識別してセッティングしてくれます。
「CC」では『最初に手にしたイヤホンが左』という仕組みで、これでも十分便利だと感じていたのですが、→UU→Clip1と進化する中で、左右どちらでも好きな方に…に至りました。
イヤホンの「どれがどっち?」問題は日々繰り返す中で意外にストレスなのでありがたい仕組みです。

そもそも、左右云々の前に「装着」「非装着」を検知してくれて、パワーON/OFFやコネクトをON/OFFしてくれるのが便利です。さらに…

さらにイヤホンを片方外れても、落下を検出して知らせてくれたり…

動作操作のためのタップが、イヤホンのどの部分でも有効だとか、便利な機能満載なんです。
この辺りの装着の検知とON/OFFの切り替えはかなり進化した印象です。迷ったり、左右掛け違えたりがまったくありません。
軽量~圧迫感の少ない軽い装着感

イヤーカフ型の「命」とも言うべき性能が「軽快な付け心地」です。
片側5gという軽量さで、液体シリコンのしなやかなフィット感はかなり快適です。
数時間、音楽を聴き続けていても大きな苦にはならないのは大きなメリットだと思います。

ただ、装着感の点で言えば「CC」の軽さは驚異的です。音源のアプリを落としたり、端末の電源を切ると「ディスコネクテッド」とイヤホンからアナウンスが流れなければ、完全に付けていることを忘れてしまうことが多々あります。「Clip1」も軽快であることは確かですが、装着している感触は常にあります。軽くて苦にはなりませんが、本気で付けていることを忘れてしまう「CC」は別格の軽さかな…と思います。
そこで筆者は低音云々の不要なPCでの動画視聴専用でCCを使用、iPhoneに繋いで音楽を聴く際にはClip1という使い分けをしています。
SOUNDPEATS Clip1 筆者所感
前述しましたが、自分的にイヤーカフ型イヤホンというものは、外の音が聞こえる実生活性と軽く圧迫のない装着感がメリットであり、反面、音(特に低音域)の厚みや音圧感や没入感はメリットとのトレードオフで致し方ない…という認識がありました。
CCを耳に圧着してみると分かりますが、しっかり低音域も出ていますし音圧感もしっかりあります。でも、外の音が聞こえるためには圧着できないので、そうした部分はあきらめるしかないと考えていたんです。
でもClip1はちがいました。そりゃあ耳をすっぽり覆ってしまうヘッドフォンと比べれば全然ですけれど、Clip1がTWSイヤホン形態としてのイヤーカフ型であることを考えれば、この低音の出方は十分に納得できるものです。それに対するコストの面でも十分なコスパだと思います。
ただし、それと引き換えに装着感ではCCに一歩譲るというのは致し方ないのかなと思います。Clip1に文句を言うならこの点だけですかね。でもそれを差し引いても、充分に満足のゆくイヤホンであると感じました。
あと、面倒くさがりの自分的には、セッティングの容易さや、装着の検知やパワーON/OFFもイヤホンの使用のハードルをさげてくれたと感じます。
急速充電も可能ですし、ケースと合わせた長時間使用もメリットです。

提供品なんだから誉めざるを得ないよね…
なんて穿った見方をする方もいるかもしれませんが、でも、ぶっちゃけ本気で満足度高いです。

それに、Clip1を貸した家内が自腹で購入しました。家内も「低温がすごく出ている」「迫力があって音楽を楽しめそう(なイヤーカフ型だね)」とのことで、期間限定のクーポン券を使って自腹購入していました。
その1点でどうこうではありませんが、少なくとも自腹切ってでも買った人がいるのは事実ですし、あながち提供品だから誉めている…というだけではないということにならないでしょうか。
イヤーカフ型は装着しにくい?
これは慣れだと思います。耳道に差し込むタイプだと押し込むだけなので装着簡単ですが、耳介に挟むイヤーカフ型でも、クリップ部分を指で広げるようにして推してやればすんなり装着できます。
筆者の場合は先のCCで慣れていたせいもあって、装着しにくいと感じたことはありません。
イヤーカフ型は音漏れしやすい?
SOUNDPEATS独自の音漏れ防止設計が施されており、現実的な音量で聴いている限り音漏れがシャリシャリ周囲の人に聞こえるということはないと思います。
ただ、雑踏の中や公共交通機関内での使用の場合は、周囲の音に埋もれないように音量を大きめにすると、何か鳴っているな…ぐらいの感じはします。でもシャリシャリなり続けるという感じではありません。
イヤーカフ型なのにこの程度の音漏れ具合か…というのは少し驚きました。
イヤホンは耳が蒸れて痒くなる?
イヤーカフ型のイヤホンは耳道に直接触れていない(耳道の直前で音を鳴らしている感じ)ので、耳道が蒸れて痒くなることはありません。触れているのは耳介の部分だけなので、装着感が軽快であるだけではなく、耳の中への影響も最小という感じです。
SOUNDPEATS Clip1 まとめ
自分が思うにClip1はこんな人に向いています。
- TWSイヤホンが欲しいが軽快な装着感が条件の人
- 外部の音が聞こえるイヤホンが欲しいが軽快な装着感が条件の人
- イヤーカフ型イヤホンが欲しいが音質にもこだわりたい人
- イヤホンの左右の区別やパワーのON/OFFが煩わしい人
- カナル型イヤホンが苦手な人
- 高コスパモデルを探している人
正直、この音質と装着感が1万円以下で手に入るというのが一番の驚きかもしれません。
それでは今日はこの辺で。