スマホの充電に時間がかかる!遅い!
とお悩みの方に耳寄りな情報を1つ。実は、スマホに付属している充電器や充電ケーブルを買い替えるだけで充電時間をぐっと短縮することができるんです。
充電の時間ってホントに無駄な時間と思いませんか?それはスマホに限ったことではなく、デジカメやノートPC等も「今すぐ使いたい」のに待たされたり、EV(電気自動車)でも充電スタンドの少なさや充電時間がネックでEVへの買い替えを思いとどまる方も少なくないようです。せめてスマホの充電ぐらいサクサクっと済ませたいものです。
USBの規格を理解しよう!
まず充電の「速い・遅い」についてです。
上図の参照元Elecomが『注射器で水をコップに注ぐ』に例えて分かりやすく解説してくれています。
この例えは
- 注射器が充電器やケーブル
- コップが充電されるスマホ
- 注射器から押し出される水の勢いが電流(A)
- 注射器を押す力が電圧(V)
- 水量が充電される電気(電力W)量
です。
充電量(W)は、電圧(V)×電流(A)ですから、注ぎ口の太い注射器(大電流)を強い力(高電圧)で押すとたくさんの水(電力)がコップに一気に注がれる(高速充電)…というわけです。
言い換えると「充電時間を短縮する」ということは、「高速充電する」ということであり、高速充電は「短時間で大電力で充電する」と理解してよいことになります。
一方で、スマホに付属の充電器やケーブルはあまり高性能なものではないことが多いため、少し性能のよい製品に買い替えることで高速充電を実現して無駄な充電時間を短縮できる…というわけです。
ちなみにこちらは、まだiPhoneに充電器が標準で付属していた頃の純正充電器です。
小さい方がiPhone用で充電量は5Wです。
大きい方はiPad用で充電量は10Wと記載があります。
iPhone用5Wでは充電が遅いと感じる場合は、iPadを持っているならiPad用の充電器で充電すると少しは速いので、筆者もiPad用充電器でiPhoneを充電していました。
ちなみにiPad用ではiPhoneには大きすぎてダメージがある…なんてことはないのでご安心を。
ただ、iPhoneをはじめ昨今のスマホは、動画視聴やゲームなどたくさんの電力を必要とするコンテンツが増えているためいずれも大容量バッテリーを搭載しているため、もはやiPad用10Wを使用しても「速い充電」は望めない状況になっています。
そこで、さらに電力の大きな充電器+ケーブルに変更すれば、今どきの大容量バッテリーのスマホでも「高速充電が可能になる」というわけです。
またiPhone本体と充電器(ACアダプタ)を繋ぐケーブルにも種類があって、流せる電流量が異なります。前出のように電流が多い方が充電量は多くなるので、ケーブルも大容量のものに交換することで充電を早めることができます。
Power Delivery(PD)対応充電器&ケーブル
スマホはUSBを介して充電されることはご存知かと思います。
画像右がUSB-A、画像中央がUSB-C、画像左がminiUSB(Androidの充電によく使われる)です。
従来の規格では最大での15Wでしか充電できなかったところ、大幅に充電効率を高めた新たな充電規格がPower Delivery(PDと略すことがあります)に対応したUSBを『USB-PD』といい、最大100Wでの充電が可能です。
5V×1A=5Wの充電と比べると、PDは20倍もの大容量で充電できるのですから早いはずです。
この「USB-PD」は、「USB-Cコネクタ、またはLightningコネクタのUSB-PD対応機器」で利用することができます。
iPhoneの場合、iPhone15以降は充電コネクタがLightningからUSB-Cに変更になっていますが、iPhone14以前のモデルでもPD対応のLightningコネクタケーブルがあるので、PDによる高速充電が可能です。
iPhone15以降は付属のケーブルもUSB-Cに変更になっており、最大60W充電に対応しています。
PD対応 USB-Cケーブル 100W/5A
筆者は最大100Wに対応したPDケーブルを使っています。
コネクタは両側ともUSB-Cで、Power Delivery対応で20V×5A=100Wでの充電が可能、ケーブルはナイロン編みで折れや断線に強くプラグ自体もしっかりしています。
室内用と車載用で2本購入、長さは1mをチョイス(他に0.5m/2m/3mあり※)しました。
※充電ケーブルは1mを超えると電流が減る…という実験結果があります。できれば50cm程度のケーブルが最大電流を流せますが、実用性に欠けるというのであれば1m以内のものをおすすめします。
PD対応 充電器 ACアダプター USB-C100W
ACアダプター(充電器)もPD対応USB-C最大100Wがおすすめです。
いくらスマホ本体やケーブルがPD対応でも、充電器が旧来製品のままでは高速充電はできません。100Wのものより65Wの製品の方が割安ですが、ここは奮発して100Wタイプをチョイスです。
この小さな充電器は、USB-Cポート×2、USB-Aポート×1を備え、最大3台のデバイスに同時に最大100Wの給電が可能です。
例えばiPhone 15 Proであればわずか30分で0%から60%に充電可能…ということなので、日々の充電を現実的に考える場合、20%まで使ったiPhone15 Proを30分で80%まで回復させられると考えてよいはずです。
車載用 PD対応シガーソケットチャージャー USB-C100W
シガーソケット・チャージャーは、PD対応100WのUSB-Cが利用可能なタイプを選びました。
自宅内での充電は毎日のことなのでできるだけ早い充電であってほしいのは当然ですが、クルマでの外出時に残量の璃々僅かのスマホを移動中(走行中)の車内で迅速に残量回復できることも非常に重要です。
このシガーソケットチャージャーは、合計最大130Wの高出力に対応し、USB-CでPD100W+30W、USB-AでSCP22.5W出力の組み合わせて3台のデバイスを同時急速充電が可能です。
これで車内でも高速充電バッチリです^^
今回はすべてUGREEN製品を選びました。
モバイル用品といえば「Anker(アンカー)」が有名で「品質が良い」「真面目な製品作り」等のイメージがあると思いますが、以前と違って今は中国製品全体の品質が向上しています。もちろんいまだに「安かろう悪かろう」を平然と貫いているメーカーもありますが、以前ほどAnkerだけが突出して良い製品を出している…という訳でもありません。それにAnker製品は若干割高感があります。
そんな品質向上著しい中華モバイル製品の中で、筆者が気に入ってよく購入しているのが「UGREEN」です。名前からすると欧米感がありますが、正式名称は「深圳市绿联科技股份有限公司」でレッキとした中国メーカーです。ただ筆者の印象で言えば、品質は悪くありませんし値段も比較的リーズナブルです。バカみたいな安値ではありませんが、チープを感じさせない一定の質感ありつつの値段なので納得できるのです。
「X」などで評判を拾っても、中にはネガな評価もありますがそれはにノンメーカーでも同じこと。一方で良い評価はかなり多いのでUGREENファンは増加している印象です。
ポータブル電源のUSB-Cポートは100W出力可能
もしポータブル電源をお持ちなら、ぜひUSB-Cの出力を確認してみるべきです。
上図はたまたま筆者が所有しているポータブル電源のUSB-Cポートですが、いずれも「PD 100W」と表記されており、Power Delivery対応で最大100W出力が可能となっています。
写真にはない他の3台もすべて「100W」での出力が可能です。ポータブル電源5台の発売年は4年ほどの幅がありますが、いずれのモデルもUSB-C端子の一部に「100W」端子を備えていました。
もし、お手持ちのポータブル電源があるようならUSB-C端子の出力を確認してみてください。もしPD対応であれば、高価なACアダプター(充電器)を購入しなくても、PD対応のケーブルのみでPD100W充電が可能かもしれません。
ソーラーパネルによる太陽光発電でポータブル電源を充電できるのであれば、ポータブル電源からスマホを充電すればスマホ充電には電気料金がかからないことになります。スマホ充電における自家発電による電力自給を実現できます。
先日、別記事で紹介した手のひらサイズのポータブル電源「Jackery 100Plus」も、ちゃんとPD対応100WUSB-Cを備えています。
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充電が遅い場合は充電器&ケーブルのPD化 まとめ
よく誤解されがちなのが、USBケーブルのデータ伝送と充電(給電)量です。
今回の話題にはデータ伝送は一切無関係で、単に充電の速さ(つまり充電量の多さ)に限った話しをしています。
データ伝送に優れたケーブルが必ずしも充電速度が速いわけではありませんし、逆に、データ伝送を想定していない充電専用ケーブルの方がしっかり充電できます。
20Vの電圧と、5Aの電流で最大100Wでスマホ充電が可能なPower Delivery(PD)対応の充電器&ケーブルによる高速充電化を検討してみてはいかがですか?
事例に出しているUgreen製品も含め、PD対応製品でもケーブルに関してはさほど高価なものではありませんので代替も容易かと思いますが、PD100W充電器は少々値が張る印象です。
もしポータブル電源をお持ちなら、意外に簡単にPD100W充電を実現できる可能性があるのでスペックを確認してみてください。また太陽光による自家発電によってスマホ充電の時給も可能です。
それでは今回はこの辺で。