iPhoneは何年間使えるのか?できることなら長寿命であって欲しいですよね。
この問題を大きく左右するのがバッテリー(電池)寿命です。実はiPhoneバッテリーの寿命は充電方法や日ごろの管理によっては大きく差がでます。今回は、リチウムイオンバッテリーを劣化させにくい充電方法や、バッテリーへのダメージを減らし長持ちさせる方法を深堀します。
筆者が使用しているのは、2020年発売の『iPhone 12 Pro Max』で、発売直後に購入してから2023年10月現在で丸3年が経過していますが、バッテリーの容量は「92%」を維持しています。本稿で紹介している方法を筆者自身が継続して行うことでバッテリーの劣化を極力抑え長持ちさせてきた実績のある充電方法ですので参考にして頂けたら…と思います。
こちらの2枚の画像をご覧ください。
こちらの2枚の写真は筆者のiPhoneの情報で、1枚目は端末の購入日、2枚目は現時点の充電容量を確認することができます。
現在はすでにiPhone16が発売されているタイミングなので、現端末は購入からほぼ4年が経過していることになりますが、91%の容量を保っているということがわかります(スクショ撮影は2024年10月23日)。
我ながら「バッテリー長寿命計画」は成功、かなり好結果の事例だと思いますが、このiPhoneをどうやって日々管理してきたのか…それはイコール、スマホバッテリーの延命策(寿命を延ばす方法)だと言えます。
日々の使用で注意すべき点(特に充電方法)などを筆者が実践してきた方法を紹介します。
リチウムイオン電池は「急」「多」「フル」が苦手
大原則として、スマホに使われているリチウムイオン電池は「急(な○○)」や「多(量の○○)」「フル(○○)」が苦手です。
- 「急」…充電はできるだけゆっくり
いわゆる急速充電はバッテリーのダメージが大きいため、やむを得ない場合を除いては出力の小さな充電器(iPhoneで言えば小さな5Wのアダプター等)を使った充電がおすすめです。急いでいないなら小さなACアダプターでゆっくり充電してください。 - 「多」…充電は少しずつ
0%近くまで使って、100%まで一気に充電するような充電方法はダメージに繋がります。早め早めに充電し、一度に充電する容量を少なくします。
→充電深度(後述) - 「フル」…フル放電フル充電を避ける
充電をすべて使い切ったり、100%満充電まで充電するとバッテリーは大ダメージを負います。最小で20%、最大で80~90%の間で使用するようにするとダメージを軽減することができます。
→フル放電フル充電・トリクル充電(後述)
※フル放電とは充電をすべて使い切ってバッテリーが空っぽになることです。フル充電とはバッテリーの充電量が満タン(100%)になった状態を指します。
こうした「急・多・フル」を頻繁に与え続けると、iPhoneのバッテリーはダメージを受けやすく、消耗が進み寿命が短くなってしまいます。このことを大前提として覚えておいてください。
スマホバッテリーはこんな状況を嫌います。
リチウムイオン電池の劣化や寿命とは?
スマホバッテリーの劣化や寿命とはどんな状態を指すでしょうか。
購入当初はスマホバッテリーを満タンもしておけば、朝から帰宅まで充分間に合っていたのに、最近になって足りなくなってきた…ということはありませんか?これはスマホバッテリーの劣化が進み、充電しておける電気量が目減りしていることを表しています。
つまり、スマホバッテリーの劣化は
『充電容量の減少』
として現れます。
例えば、購入当初5000mAhの容量だったバッテリーが、日々の使用で少しずつ劣化し、1年後に4000mAhしか充電できなくなっていたら、その時点の充電容量は80%と表示され、1000mAh=10%だけ劣化が進んだ…ということになります。
そして、スマホバッテリーの寿命とは、充電容量の減少が進んで、バッテリー切れが頻発し、
『実用的でなくなった状態』
を指します。
朝充電して出かけて、夜まで持たずに夕方に電池切れになってしまうと、充電器を持ち歩くなど次第に実用性を失ってゆき、気が付くと電源が落ちているようになるなど、利用者の感覚で「もうダメだ」と思う瞬間がそのバッテリーの寿命ということになります。
充電サイクルとは
スマホバッテリーの寿命を表す言葉として、よく「充電サイクル」や単に「サイクル」という言葉が使われます。
AppleはiPhoneバッテリーの「充電サイクル」を約500回繰り返した際に充電容量が本来の80%になるように設計しており、この容量80%をバッテリー交換の目安(つまり寿命)と見ています。
また、通常の利用上で「充電サイクル」を500回カウントする期間を、おおよそ3年間と見ています。
「充電サイクル」を図解すると以下のようになります。
今日75%使い、明日25%使うと使用量の合計が100%になるので、今日と明日を併せて充電サイクル1回となるわけです。図のように放電と放電の間に充電が挟まっても関係なく、放電量だけを加算していって100%になったら「充電サイクル1回」となります。
極端な事例を言えば、1日に5%しか使わない場合には充電サイクル1回をカウントするのは20日後です。途中で何度充電してもそれは変わりません。
『充電サイクルを約500回繰り返した際に充電容量が本来の80%になる』を言い換えると、放電100%を500回なのでトータル50000%分の電力を使うと、バッテリー容量が80%になる計算…ということです。Appleでは、通常の利用方法であれば、50000%ぶんのバッテリーを使うには約3年かかるとみている…ということです。
なぜバッテリー交換の目安は容量80%なのか
なぜスマホのバッテリーの容量が80%まで減少したらバッテリー交換の目安なのでしょうか。
この点についてもAppleサポートが明快に見解を示しています。
文字が小さく長文なので思い切り要約すると
『化学的に経年劣化が進んだバッテリーは、容量減少とともにインピーダンスが増加する傾向にある。インピーダンスが増加したバッテリーからの電力供給は電圧が低く、iPhoneが正常に動作する最低限の電圧を供給できない場合があり、iPhoneの電源管理システムでもカバーしきれなくなると電子部品を保護するためにシャットダウンする場合がある』
ということです。
つまりiPhoneのバッテリーは、劣化が進むと容量が減少して「夜帰宅するまで電池が持たない」といった実用性に欠けるデメリットと、iPhoneが正常に動作するための電力を供給できなくなり、電源を今日背的に落とす「シャットダウン」するようになり、気づくと電源OFFになっている…といった使いにくさも現れてくる…というわけです。
Appleでは、そうしたバッテリーの不便さや不具合が発生する劣化状態を容量80%(つまり寿命、交換時期)と見ているというわけです。
※逆に言えば、80%容量でもシャットダウンなどなく実用的にも問題なく利用できているなら、そのiPhoneはその人にとって、「まだ寿命ではない」ということになります。
バッテリーの劣化を緩やかにして寿命を延ばす方法
ここまでバッテリーの劣化や寿命の意味や、リチウムイオン電池の特性、容量80%を目安とする理由などを見てきましたが、Appleが言う「充電サイクル500回」(約3年)は平均的な数値であり、iPhoneの使い方や充電方法によって劣化を緩やかにし寿命を延ばすことが可能です。
実際、冒頭で紹介したように筆者のiPhoneは購入から2年9か月目ですが、まだ容量は92%を維持しており、寿命の先延ばしに成功している…と言えます。今のところ、Appleの「3年後に容量80%残存」の2倍の寿命「3年後に容量92%残存」で推移しています。
以下の各項では、劣化を緩やかにし、寿命を先延ばしにする方法を解説します。
フル放電・フル充電を避ける
リチウムイオンバッテリーが嫌うことの1つ目は「フル放電・フル充電」です。
フル放電は絶対に避けるべきNG行為
フル放電とは、iPhoneの電池残量が0%になるまで使い切ることを指します。
しかし、現在ではまったく逆で、容量は使い切らないうちに
「早めに充電すべし」が正解です。
バッテリーの種類がリチウムイオン電池に変わったため、電池の性格が異なるので正解も変わったのです。
現在主流のリチウムイオン電池は「メモリー効果」に強く、継ぎ足し充電をしても容量が目減りすることはほとんどありません。逆に、リチウムイオン電池は容量を「空っぽ」になることで大ダメージを負ってしまうため、残量があるうちに充電する継ぎ足し充電が「正解」なのです。
このことは古くから携帯電話やスマホを使ってきたベテランユーザーに多い誤解です。さらに、それをまことしやかに説明されて信じてしまった若年層にも誤解は広まっています。
フル充電もバッテリーにとっては過酷
同様に「フル充電(満充電)」もリチウムイオン電池にとっては大きなダメージとなります。
リチウムイオン電池を採用している二次電池(充電池・蓄電池)を充電する際には、容量80%前後までは大電流で急速充電を行いますが、80%を超えるあたりから充電がゆっくりになり、少しずつゆっくり充電する機能を持っています。
これを「トリクル充電」と言い、電流を落としてゆっくり充電することで、ダメージを最小限にする充電方法です。
これは、iPhoneだけでなく、Androidスマホはもちろん、モバイルバッテリーやポータブル電源なども含めて、リチウムイオン電池採用機器に搭載されている電池ダメージを軽減する「防衛機能」です。
iPhone15+iOS17では充電量を80%に制限できる(追記)
先ごろ発売された最新iOS17インストール済みの「iPhone 15」では、充電量を80%までに制限する機能が新たに追加されました。筆者がこれまで自主的に実践してきた「最大80%充電」が機能としてiPhoneに実装されたことになります。
あとは、電池を使う側(放電)でもフルに使い切ることがないように気をつければ、リチウムイオン電池に優しい電池管理となります。
浅い充電深度がバッテリーに優しい
リチウムイオンバッテリーが嫌うことの2つ目は「一気に大容量を充電」です。
これは「充電深度」と言われる考え方で、1度に充電する量が少ない方がダメージが少ないと言われています。
つまり、容量10%まで使って90%まで一気に充電(80%充電)するより、30%で充電し始めて80%で止める(50%充電)の方がリチウムイオン電池により優しい充電と言えます。
1回の充電量を少なめにしても、「継ぎ足し充電」には強いので充電回数を増やすことで使用量を賄う方法~「充電深度」を浅くするような充電方法(つまりちょっとずつ充電する)がおすすめなのです。
またバッテリーは熱にも弱い性格を持っていますが、充電時にはバッテリーが熱くなる場合がありますが、これについても充電時間を短くする(つまり充電深度を浅くする)ことで、長時間高熱にさらすことを避けられる…という意味合いもあります。
ながら充電はダメージが大きいので避けるべき
充電しながらスマホを使用するのは絶対に避けるべきです。
例えば、ゲームやWEB閲覧、SNSトークなど、充電コードにスマホを繋いだままやりがちですが、スマホバッテリーを長持ちさせたいなら絶対に避けるべきです。
もし、充電中に電話がかかってきたり、SNSを受信したりして、相手とやり取りしたい場合には必ず充電コードを抜くようにしましょう。
繰り返しているようにリチウムイオン電池は「継ぎ足し充電」OKですし、何度充電を繰り返しても無関係で、バッテリーの寿命は「充電サイクル」で決まります。従って、電話やSNSが終わったらまた充電再開すればいいわけですので、極力「ながら充電」は避けるようにすべきです。
特に大容量ゲームや動画・映画再生など電気を食うアプリの使用は、それだけバッテリーの負担となるので特に注意が必要です。
充電コードやモバイルバッテリーを常備しよう
避けることは「フル放電フル充電」「一気の大容量充電」「ながら充電」ですが、これらを実践するにあたって容量不足をリカバリーする方法は小まめな充電しかありません。
朝家を出てから夜帰宅するまで1回の充電で賄おうとせずに、充電コードやモバイルバッテリーによる小まめな容量回復が、バッテリーへのダメージを減らし、寿命を延ばすことに繋がります。
モバイルバッテリーを手のひらサイズの超小型ポータブル電源にする…というのも選択肢としておおいに「あり」です。詳細は別記事をご参照ください。
大容量モデルのほうが長寿命
iPhoneのバッテリーの充電量や充電管理はすべて「%」が基準です。
「○○mAhまで使ったら充電」
「一度に充電するのは××mAhまで」
といった実数を基準にしていません。
ということは、例えば電池容量の異なる「A:10,000mAhのスマホ」と、「B:5,000mAhのスマホ」があったとして、1日に5,000mAhを使うユーザーが(A)(B)それぞれのスマホを使ったとしたらどうなるでしょう?
Aのスマホは2日に1回充電すればよく、Bのスマホは毎日充電しないとなりません。
そうなんです。
実はスマホのバッテリーを長寿命化しようとした場合、最も効果があるのは大容量バッテリーを搭載したスマホを使うことなんです。
もちろん、同じ容量のバッテリーを搭載したスマホどうしであれば、上記のような充電方法やバッテリー管理を行うことで長寿命化が可能ですが、そもそも、一定量の電池を使う前提で考えれば大容量バッテリーモデルを使った方が、使用する「%」は少なくて済み、結果、長寿命ということになるのです。
筆者が『Pro Max』モデルを使っている理由の1つがそこにあります。
例えば最新のiPhone15で言えば、iPhone15よりiPhone15 Plusの方が同じ使い方をするなら長寿命ですし、iPhone15 ProよりもiPhone15 Pro Maxの方が長寿命です。
購入時の価格は大容量モデルの方が割高ですが、もしかすると、寿命が長く買い替え時期が延びるのであれば、使用年数割りのコストは大容量モデルの方が割安になる可能性もあるかもしれません。
スマホバッテリーを長持ちさせる方法まとめ
iPhoneでもAndroidでも、スマホに採用されているリチウムイオン電池は「急」や「大」「多」を嫌うことを意識して日々利用することが重要です。
- フル放電フル充電は避ける
可能であればトリクル充電は使わない(充電は80%で止める)
電池を0%まで使い切らないうちに早めに充電する(20%目途)
充電回数は増えても大丈夫(継ぎ足し充電OK) - 1度に充電する量は少なめに(充電深度・急速充電)
急がないなら急速充電は行わない
充電は小電流でゆっくり(小型のACアダプター推奨)
30%~80%の間での使用を推奨 - ながら充電は避ける
特に大容量ゲームや動画映画視聴など
充電中のスマホ使用の際は一旦充電を中止する - 大容量バッテリー(大型モデル)を選ぶ
同じ充電量でも大容量バッテリーなら充電割合は低くなるため、充電サイクルのカウントがゆっくりになります。長寿命と言う観点で選べばい大型モデルがおすすめです
以上が筆者が経験から導いたスマホバッテリーへのダメージを減らし、ひいてはバッテリー寿命を延ばす方法です。これを実践すると、3年後に容量90%残存を実現できるかもしれません。
興味があれば試してみてはいかがでしょう。
それでは今日はこの辺で。