「1GB未満無料の廃止」「大量解約」「歴史的赤字」などネガティブなニュースでも何かと話題になる楽天モバイルですが、パートナー回線の通信制限を撤廃した「最強プラン」を打ち出すなど、新たな大胆な戦略を取ることでも注目されています。
そんな楽天モバイルですが実際の使い勝手はどうなのか気になる方も多いのではないでしょうか?
そこで、本稿ではかつては楽天モバイルを解約しながらも最強プラン導入に伴い再契約し利用し続けているユーザーの視点から、楽天モバイルに満足している点、不満な点、それぞれを正直に解説します。
楽天モバイルの導入を迷っている方にとって、参考にしていただける情報を多く含んでいますのでぜひご覧ください。
現役ユーザーが切る!料金「大満足」、データ通信「納得」、通話「残念」な理由とは
☆5つ満点評価 | |
料金 | ☆☆☆☆☆ |
データ通信 | ☆☆☆☆ |
通話 | ☆☆ |
総合評価 | ☆☆☆☆ |
上の表は島根県隠岐郡という離島の地方エリアで利用している一ユーザー視点、独断でつけた満足度です。
それぞれの評価に至った理由を簡単に解説します。
料金:どう使ってもお得な段階式課金が利用用途とマッチ
料金面はかなり満足しています。
筆者はデータ通信は自宅で使うことが多いため、基本的にスマホの利用もWi-Fi接続のことが多く、外出時に使うくらいであれば月間3GBで足ります。
一方で長期出張で外出先で多くデータ通信が必要となる場合があるのですが、そういった場合もどれだけ使っても月額3,000円程度。いちいち速度制限や追加課金を気にしてWi-Fiを探す手間を考えると大きな出費ではありません。
データ通信:特段の不満なく普通に使える
データ通信は比較的満足しています。
基本的には山間部や海など電波が届きにくいところにいる時以外は通信環境は良好で「遅い」「繋がらない」と感じることは少ないです。
一方で5G提供外エリアであるためか、特別に速いと感じることもないためこのような評価にしました。
通話:楽天LINKは改善の余地あり
通話に関してはやや不満です。
以前の楽天LINKは正直使い物にならず、それも解約理由の一つでした。今回、最強プラン導入にあたり「楽天LINKの品質も改善されているだろう」と期待もしていました。
実際には改善傾向にはあるものの、電波が良好なはずのエリアでも繋がりにくいことがあったり、音声が途切れたりと、まだ仕事で安心して使い続けられる水準ではありません。
あくまで電波が比較的良好でないエリアに住む1ユーザーの評価です。都会エリアなどでは環境が異なる可能性があります。
楽天モバイルのサービス概要と特徴
ここで改めて楽天モバイルのデータ通信や通話プラン、初期費用といったサービスの概要について説明します。
プランは「最強プラン」のみ!データの利用量に応じて料金が決まる
楽天モバイルが提供するのは「最強プラン」のみの「1プラン」です。月ごとに利用したデータ量に応じて段階式に基本料金が決まる仕組みが採用されています。
利用したデータ量 | ~3GB | 3~20GB | 20GB超 |
料金 | 1,078円 | 2,178円 | 3,278円 |
月のデータ利用量が3GB未満の場合、基本料金は1,078円と格安SIM並の料金で利用できます。
3GB超~20GBまでの料金は2,178円です。
さらに、20GBを超えた場合の料金は最大3,278円で、上限なしでデータ使い放題となります。
スマホのプランの中で「データ無制限」のプランは他の通信キャリアが提供する高額なサービスしかなく、無制限のプランの中で圧倒的な価格競争力があると言えるでしょう。
他社の無制限プランと比較
各キャリアのデータ通信無制限の料金と以下のとおりです。
キャリア(サービス名) | 月額料金 |
ドコモ(5Gギガホプレミア) | 7,315円 |
au(使い放題MAX 5G/4G) | 7,238円 |
ソフトバンク(メリハリ無制限) | 7,238円 |
動画アップロードやオンラインゲームなどの「上り速度」を重視しないのであれば、自宅のインターネットを全て楽天モバイルのテザリングでまかなうことを検討してもよいかもしれません。
無制限3,278円はホームルーターや光回線などと比較しても安価なため、トータルの通信費を抑えることも可能なのです。
パートナー回線の5GB制限が撤廃!地方エリアでも便利に使える
2023年8月8日時点の楽天モバイルの4G / LTE提供エリアは「人口カバー率99.9%(パートナー回線含む)」に達しています。
楽天モバイルは自社のネットワークで接続できない範囲において、au(KDDI)の回線を借りる(ローミング)ことで多くのエリアをカバーしているため、楽天モバイルまたはau通信網のいずれかに接続できれば通信が可能となります(いずれの回線も接続できないエリアのみ「圏外」となります)。
「最強プラン」導入前は、パートナー回線では上限5GB/月の制限があり、5GBを超えた場合は通信速度が最大1Mbpsに低下していました。しかし、「最強プラン」導入にあたって5GB上限が撤廃されたため、パートナーエリアにおいても「データ通信上限なし使い放題」のメリットを享受できるようになりました。
通話無料の楽天LINKのメリットとデメリット
楽天モバイルの特徴の一つが、通話アプリ「楽天LINK」でしょう。
- 楽天LINKは、国内外への通話料が無料でかけ放題
他のサービスのように別途有料のオプションをつける必要はありません(ただし「050」など発信できない通話先もあります※)。
楽天LINKで発信できない通話先へは、通常の通話回線(22円/30秒)からの発信となるため、意図せず通話料金が発生するため注意が必要です。 - 楽天LINKは、インターネットを介した「IP電話」
IP電話は、通信回線の混雑の影響などによって通常の電話回線と比べると通話品質は劣りますが、料金をかけずに通話可能であることは、用途によっては大きなメリットとなります。
通常の電話回線での通話も利用可能
楽天LINKアプリから発信すれば通話は完全無料ですが、一方で通常の電話アプリから発信すれば電話回線を通じた会話も可能です。
料金は22円/30秒と多くの他社サービスと同じ価格設定です。
楽天LINKから発信すれば無料なのだから、あえて有料通話を使う意味はないのでは?
と思われるかもしれませんが、前述のとおり楽天LINKは状況によっては音声品質が芳しくないケースもあり得えます。また、サービス品質がまだ不安定な部分もあるため、重要な通話相手や要件の場合には通常の通話回線での通話が必要な場面もあるのです。
初期費用完全無料!MNPワンストップで乗り換えもスムーズに
楽天モバイルは初期費用は一切かかりません。
契約にあたって事務手数料やSIM発行手数料といったコストは利用者の負担増になりますが、楽天モバイルとの契約ではこれらの費用は不要です(乗り換えハードルが低いと言えます)。
また、楽天モバイルはMNPワンストップに対応しています。
そのため、他社からのMNP転入する場合でも、旧通信サービスでMNP予約番号を取得する必要はありません。乗り換え先の楽天モバイルで「番号継続」として申し込めば自動的に予約番号が発行される仕組みです(ただし、旧通信サービスもMNPワンストップ対応である必要があります)。
乗り換えの際の手間や手続きはシンプルに越したことはありません。そういった意味で、利用開始にあたって費用や手間がかからないのも楽天モバイルのメリットの一つと言えるでしょう。
楽天ヘビーユーザーなら関連サービス利用でさらにお得!
楽天はECサイト「楽天市場」を中心に、金融、旅行など様々なサービスを展開しており、サービスの利用の中で得られる楽天ポイントが他のサービス決済に利用できる「楽天経済圏」が形成されています。
楽天モバイルも楽天経済圏の中の1サービスとして位置づけられており、他の楽天サービスと併用することにより様々な恩恵が受けられます。
携帯料金0円も可能?楽天ポイント支払い対応
楽天モバイルの利用料金はポイント払いが可能です。
仮に月々の利用が3GB未満の場合、毎月1,078ポイント以上を獲得していれば、楽天モバイルの利用料金が付与されるポイントで相殺できるため実質0円で利用できることになります。
楽天経済圏の住人であれば、SPUによる買い物や楽天サービスの利用などで、月間1,078ポイントを獲得することは決して難しくありません。
期間限定ポイントが優先的に支払いに充てられるため、気づかない内に失効させてしまうことも避けられます。
楽天モバイルユーザーは楽天市場のポイント還元率が上がる
楽天モバイル契約者はSPUがアップします。その上昇率は楽天市場の会員ランクに応じて最大+3倍です。
現役ユーザーとして満足しているメリット
自分は楽天モバイルを一旦解約しながらも再度契約しました。
そんな出戻りユーザーとしてサービスについて満足しているポイントは以下の2つです。
- 段階式課金プランが◎
- パートナーエリアでもデータ無制限
シンプルでどんなユーザーにもおとくな段階式課金プラン
段階式課金は筆者のような使い方にとっては非常に便利です。
普段、データ通信を仕事・プライベートで使うのは自宅が多いためWi-Fi接続で使っていれば月の利用量は3GB未満のため、通常の請求額は1,078円と格安SIM並です。
一方で、出張が多く外出時にデータをデータ消費量が多くなりますが、データ量をどれだけ消費しても3,278円以上かかることがないのは非常に安心です。データ残量・通信制限など一切気にすることなくフレキシブル使えるため運用が楽な点も嬉しいポイントです。
パートナーエリアの5GB制限撤廃で地方エリアでも快適に使い放題
パートナーエリアで5GBまでしか使えないのは、地方エリアに住む筆者にとっては大きなデメリットでした。
一度解約する前は基本的には月間利用のデータ量は1GB未満(※当時は無料)でしたが、必要に迫られて楽天モバイルのデータ通信を利用した時に5GBで制限がかかるのでは「保険」として回線を持っている意味が半減してしまいます。
最強プランとなって以降は5GBの制限がなくなったことで、広いエリアで快適に通信できるためむしろメイン回線として使えるようになりました。
解約した際の不満が解消されていないデメリットや注意点
一方で、かつて解約した際の不満が解消されていない部分もあります。また不満ではありませんが、勘違いしやすい注意点についても解説します。
- 楽天LINKは仕事レベルではない
- auと全く同じ通信が可能ではない
楽天LINKは改善傾向ながら仕事で快適に使えるレベルではない
通話アプリ楽天LINKは以前と比べると品質が改善されていますが、時折接続が悪かったり、音声が聞こえにくかったりといった不具合があります。
電話の用途が友人知人や家族との通話や、サービス問い合わせ、店舗予約といった程度であればそれほどストレスを感じることなく使えるかもしれませんが、仕事で安心して使える品質ではありません。
「パートナー回線が使える」=「auと全く同じ通信ができる」ではない
楽天モバイルはパートナーエリアではau回線が使えますが、実際に使えるのはau通信網の1つバンド(帯域=800MHz)のみです。
つまり、「楽天モバイルを契約=auと楽天モバイルの電波帯を全て使える」というわけではないのです。
au通信網の通信帯域(4G/LTE)
Band | 周波数 | 備考 |
1 | 2.1Ghz | |
3 | 1.7Ghz | |
11 | 1.5Ghz | |
18 | 800MHz | |
18/26 | 800MHz | ※auパートナー回線 |
28 | 700MHz | |
41 | 2.5GHz | WiMAX 2+ |
42 | 3.5GHz |
auはこれだけ多くの帯域(回線)を自社通信網として保有していますが、楽天モバイルにロービングして貸し出しているのは、800KHz帯のみです。
800MHz帯は「プラチナバンド」と呼ばれる低い周波数帯の電波で、波長が大きく長いため建物や障害物の陰に回り込みやすい性質のため、通信可能エリアを構成するには非常に重要な帯域です。しかし反面、速度面ではあまり高速ではないため、通信速度の面ではあまり貢献しない帯域です。
楽天モバイルはこの800MHz帯を都市部・地方部でも積極的にローミングする政策で「最強プラン」を形成していますが、単一の帯域である上、auでもメインで使用する帯域なので基地局の混雑が起こりやすく(※)繋がりにくくなったり、元々あまり速い帯域ではないため、高速通信には弱い側面を持っています。
※auは800MHz帯以外にも多くの帯域を同時使用しているので、例え800MHz帯が混雑しても他の帯域へ逃がすことが可能です。しかし単一帯域しか借りていない楽天は、800MHz帯域に空きができるまで接続できなかったり、できても混雑によって速度低下が起きていた場合にはその影響をモロに受けてしまいます。
楽天モバイルで使える電波帯(4G/LTE)
Band | 周波数 | 備考 |
3 | 1.7Ghz | |
18/26 | 800MHz | ※auパートナー回線 |
これに対し、楽天モバイルが自社通信網で提供する帯域は1.7GHzの高周波数帯の電波で、直進性が強いため建物や障害物の陰に回り込みにくくエリアを面で構成するには不向きな帯域ですが、通信速度は非常に高速です。
このようにau回線が使えるからといって、必ずしも通信サービスとして万全とは言えず、auサービスと同等の品質や速度を担保できない点は、最強プランの弱点と言えます。
楽天にも未使用のプラチナバンドが割り当てられることになっているので、近い将来は自社通信網でエリアを広く面でカバーできるようになるかもしれません。期待できそうです。
ユーザーが正直に教える楽天モバイルがおすすめの人、おすすめでない人
上記のような実際に使ってみた正直な満足ポイント、不満ポイントも踏まえながら楽天モバイルがおすすめの人、おすすめでない人について解説します。
楽天モバイルがおすすめの人
楽天モバイルは以下の条件に当てはまる人には特におすすめできるサービスです。
- 月によってデータ使用量が増減する方
- 月間データ使用量が20GB超のヘビーユーザー
- 楽天経済圏にお住まいの方
月によって利用するデータ量に差がある人
筆者のように月のデータ使用量に差がある人にとって、楽天モバイルの自動で料金が決まるプランは便利で経済的です。
特に「普段は3GB / 月未満、多い時は20GB / 月以上」というような使い方の場合、使った量に応じてそれぞれ他社と比較して安価な請求しかこないため、ストレスがありません。
データ利用の多いヘビーユーザー
常に20GB以上の通信を利用するユーザーにとっても楽天モバイルがお得といえるでしょう。データ通信をどれだけ使っても月の請求が3,278円というのは他社のサービスと比較しても非常におとくな水準です。
楽天のサービスを多用している人
楽天モバイルは楽天の他のサービスとの相乗効果が高いため、「楽天経済圏」のヘビーユーザーにもおすすめできます。
ポイントを無駄なく効果的に利用したい場合、楽天モバイルの支払いと相殺することで月々欠かせない通信費を大きく抑えられます。
逆にポイントを貯めておいて旅行や大きな買い物に使いたい場合、楽天モバイルの支払いでも効率よくポイントを貯めることが可能です。
楽天モバイルがおすすめでない人
以下の条件に当てはまる場合、楽天モバイルよりも合ったサービスを探した方が良いでしょう。
- データ通信が少ない方
- 仕事での通話(発信)が多い方
データ通信をほとんど利用しない人
楽天モバイルはデータ通信を全く利用しなくても最低月1,078円の基本料金が発生します。
データ通信をほとんど利用しない人、もしくはメールやwebの閲覧のみで利用し、低速で構わない人などはもっと安く利用できるサービスがあります。
【参考】
mineo マイそく(ライトプラン) | HISモバイル 自由自在プラン(1GB) | |
月額基本料 | 660円 | 550円 |
備考 | 最大300kbpsで利用上限なし | 月額のデータ利用量が100MB未満なら290円 |
仕事で電話を多用する人
通話無料の楽天LINKは一見電話を多用する人にとって理想的なサービスに感じますが、通話品質はまだまだ改善の余地あり。通話料がかからないことを魅力に感じて楽天モバイルを契約すると、その音声品質への不満は大きくなってしまうかもしれません。
特に仕事で電話が欠かせない場合は通話品質の高い通話定額サービスに加入する方がよいでしょう。
【参考】
音質が良く通話料が安い「通話サービス」なら『G-Call』が最適です。
G-Callは通信会社に属さない独立系の通話サービスで、通話料金は8円/30秒(税込)と筆者が知る中で最安料金で通話可能です(050など通話不可番号あり)。どの通信サービスとも組み合わせ自由なので、電話番号が変更にならない限り、通信会社をMNP(乗り換え)してもそのまま利用継続可能です。
8円/30秒で通話するためには、電話番号を登録する必要がありますが、家族の電話番号やサブ端末の電話番号も登録しておけるので、1契約で複数端末で割安料金通話が可能です。電話番号が変更になっても登録を追加するだけで新しい番号でも使えます。
また「10分かけ放題」を700円/月(税込)で提供していますが、10分超過後も8円/30秒の通話料なので、通話料金に関しては圧倒的な安さを誇ります。通常電話回線なので音質も問題ありませんし、通信の混雑にも影響されません。
G-Callには既存会員の「紹介制度」があり、紹介を経由すると250P(約15分の通話料に相当)を貰えます。
現在G-Callでは「サマーキャンペーン」と題して、電話番号登録1件につき1000ポイント貰えるキャンペーンを開催中です。
通常は既存会員からの紹介で入会した際のみポイント付与の対象ですが、キャンペーン期間中は、家族や自らのサブ回線など、はじめて登録する電話番号1件に対して250P、契約回線含めて最大4回線=1000Pが付与されます。
なお、G-Callについて詳細に知りたい方は以下の記事をご覧ください
楽天モバイルを地方ユーザーが評価 まとめ
楽天モバイルの概要についてまとめました。
- 最強プランでパートナー回線の制限が撤廃、全国で快適な通信が可能に
- データ利用に応じて料金が決定、どの価格帯もおとくに設定
- 楽天サービスのヘビーユーザーは他のサービスとの相互利用でさらにお得に
- 楽天LINKの品質はまだ改善の余地あり、仕事に使うには不向き
楽天モバイルはデータ通信においては価格面で優れ品質も問題ありませんが、通話に関しては現状仕事で満足に使えるレベルではなく今後の改善に期待します。
以上は一人のユーザーとしての評価に過ぎませんが、皆さんが楽天モバイルを検討する際の判断材料の一つになれば幸いです。