NTTドコモが新料金プラン「irumo(イルモ)」と「eximo(エキシモ)」を発表しましたが、正直、いまどきこんなプランを「新プランだ」といって公表してくることに少々驚かされました。

皆さんは覚えておいでか分かりませんが、かつて、政府や総務省が大手キャリアに料金値下げを迫って、ドコモは「ahamo」、Softbankは「SoftBank on LINE」(のちのLINEMO)を発表しましたが、KDDIは「データMAX 5G with Amazonプライム」を発表したことがありました。今回の「irumo」はその時のKDDIとよく似ていて『先祖帰りか?』と思ってしまいました。
KDDIの「データMAX 5G with Amazonプライム」は、それまでの古い慣習通り、期間限定の割引や様々なサービスとのセットによって割安になる仕組みを踏襲していました。
一方のahamoは、従来のドコモプランからの乗り換え手数料がかからず、最初の数か月や1年間といった期間限定割引や、各種サービスとのセット割引による料金表示を取りやめたことで、誰もが同じ条件で同じ料金で利用できる点で評価されましたが、auは逆に批判を浴びてのちの「Povo」そして「Povo2.0」を生み出すことになりました。
そういう意味で考えると、「irumo」はまったく逆行なんです。
例えば「irumo」の3GBの料金は2,167円で、「ドコモ光/ホーム5G」とのセットや、dカードによる料金決済をセットで利用することで880円になるのですが、これを「安い」としているわけです。
『スマホ代に、納得感を。』がキャッチフレーズですが、こんな時代錯誤のプランに納得なんてできるもんじゃありません。
いまどき、MVNOだってそんな骨とう品のような見かけ倒しの割安料金なんて作りません(MVNOごめんね)。
3GBを月額880円で使えるんだ…とアピールしていますが『いやいやirumoさん、あなたの3GBの料金は2,167円ですよね』と裏拳で突っ込みたくなります。
ahamoの時には他社に先駆けて、余分な手数料を廃してセットに頼らない「素」の割安料金を打ち出したのと同じ通信会社の新プランとしては、情けないとさえ感じてしまう体たらくです。
irumoってどんなサービス?
月額料金 | 1GBあたり | 割引適用後 | |
3GB | 2,167円 | 722.3円 | 880円 |
6GB | 2,827円 | 471.2円 | 1,540円 |
9GB | 3,377円 | 375.2円 | 2,090円 |
料金体系はシンプルです。シンプルですが、セットを適用することを前提としたプランになっています。
「割引適用後」の割引とは以下を指します。
- ドコモ光セット割/home5Gセット割…-1,100円
- dカードお支払い割…-187円
ちなみに、0.5GBプランは割引適用がなく、基本料金550円のままです。
通話料…22円/30秒、高速データ容量を使い切ったあとは最大300kbpsに制限されます。
「セットにすれば3GB=880円なんだ、LINEMOやPovo2.0より安いじゃん」と思うかもしれませんが、自宅にWiFiがない方や、現在のWiFiの乗り換えを検討している方なら条件に合う可能性はありますが、現在のWiFiを継続したい方にとっては何もメリットがありません。
そもそもこういう「抱き合わせ商法はやめましょう」ってことになって、自分でahamoを生み出したはずじゃなかったんですかね。まったく古臭い手法で登場した新プラン、こんなものちっとも「割安」とは言わないです。誰も納得感なんて感じないのではないでしょうか。
もう1つ突っ込みたくなったのは、通信速度についての記述。
「通信速度 eximo/ahamoと同等」と書いてあります。
ahamoと同じなら速いんだ…って思うじゃないですか。
書いた方も「速い」とか「大丈夫なんだ」といった印象を持たせようとしているのかもしれませんが、これ、注意しないといけないんですが、そもそもahamoの通信速度は、混雑時にはドコモの通常の料金プランが優先する仕組みになっているんです。
平らに言うと、混雑したらahamoから速度制限しますよ…ということです。
「irumo」のWEBに小さく注意書きがあります。
『通信混雑時・大量通信時などに他の料金プランよりも先に通信速度の制限を実施する場合があります』
混んだらまっ先に速度制限される…ということもahamoと同じだと理解しておく必要があります。
ちなみに、最小プランのデータ容量0.5GBのプランでは、通信速度は最大でも3Mbpsまでに制限され、5G通信もできません(5Gで0.5GBなんてあっという間に蒸発ですが…)。容量使い切り後は128kbpsです。

「irumo」って、元々NTTコムが提供していて、再編後はNTTレゾナントが提供になっていた「OCNモバイルONE」の後継らしいんですが、正直「どこが?」という感じです。OCNモバイルONEでは「素」で3GB=990円/月でしたから完全に値上げですよね。
セット割引きや、小さな注意書きでモバイル通信料金が分かりにくくなるプランは要らないモ~!(ひとりごとです)
— 日本通信&b-mobile公式 (@bmobile_jci) June 20, 2023
MVNOの日本通信にこんなTweetされちゃうようじゃね…。
まあ日本通信は何かとドコモにつっかかってゆく傾向があるのでそういうことなのかもしれないし、自社サービスのアピールもあるんだろうけど、誰がみてもわかりにくいと思わなきゃこんなTweetなかなかできないんじゃないんじゃないかな。
…にしても最後の「も~」はなんか舐めてますよね?「イルモ~」「いらないモ~」って^^
irumo自分的まとめ
いずれにしても、光通信とのセットなんてしなくても、支払うクレジットカードを限定しなくても、LINEMOやPovo2.0なら、「素」のままで3GB/月=990円ですから、通信品質が悪いと批判されまくりのドコモの割高プランをわざわざ契約しなくても…というのが正直な感想です。
逆に言うと、「繋がらない」「遅い」と批判されている中で、よくこんなプラン出してきたな…という点で驚きです。ドコモ本体プランが「繋がらない」「遅い」状態なら、最初から速度制限前提じゃないですか?

こちらは「irumo」の公式サイトのアイキャッチですが「スマホ代に、納得感を」と書かれています。
このプラン内容でスマホ代(=料金)に納得する人っているんでしょうか。
LINEMOなら3GB月額990円で「LINE」利用分の通信量は無料だし、Povo2.0なら3GB=990円/30日で「ギガ活」すれば普段の買い物や飲食でギガを無料で貰える…というプラスアルファがあるのに、「irumo/eximo」は光通信サービスをセットしないと割高になるんですから、何をかいわんや…です。
自分的には全く納得する要素がありません。
あと余談ですが、メディア曰く「若者層には相手にされないのでシニア層を狙う」のだそうな。
でもね、ドコモの携帯電話がレンタルのみから販売されるようになった当時の現役世代だった30代って、いま70歳目前の年齢層なんですね。ちゃんとその時々のガラケーやらスマホを普通に使ってきていれば、いまの70前後はスマホ音痴ではないんで、こんなプランが馬鹿げていることぐらいわかりますよ。
シニアなら何を言っても信用して騙せるという前提でものを言うメディアもどうかと思います。
それは今日はこの辺で。