MMD研究所が実施した『2024年9月MNOのシェア・満足度調査』によれば、スマホユーザーの90.7%が大手キャリアが提供する通信サービスを利用しているとの結果でした。これに対して、MVNOの利用者はわずか9.3%でした。
多くのスマホユーザーが大手キャリアの通信サービスを利用、特にオンライン専用プランであるPovo(au)とLINEMO(Softbank)のユーザー満足度が高いことがわかりました。
以前、当ブログでは「MVNOをおすすめしない理由~昼12時台の速度低下や初期費用など LINEMOとPovo2.0でいいよね」という記事を公開しています。実は筆者も以前はMVNOサービス利用者で、各社の15サービス超を利用してきましたが、PovoやLINEMOが登場したことでキャリアサービスの利用者になった経緯があります。
今回は、定期的に公開されているMMD研究所の2024年9月の「MNOのシェア・満足度調査」について見てみましょう。
2024年9月MNOのシェア・満足度調査
MMD研究所が実施した「2024年9月MNOのシェア・満足度調査」の調査結果を確認しましょう。
調査の実施条件は以下の通りです。
- 予備調査では18歳~69歳の男女40,000人を対象
- 本調査ではMNO利用者2,700人を対象
- 2024年9月13日~9月24日に実施
- MNO利用者2,700人の内訳は、NTTドコモ・au・Softbank・楽天モバイル・UQmobile・Y!mobile・ahamo・Povo・LINEMOの各サービス300人ずつ
メインで利用しているスマートフォンの通信契約
NTTドコモ | 27.3% | au(KDDI) | 15.0% |
Softbank | 10.5% | 楽天モバイル | 9.3% |
UQmobile | 8.8% | Y!mobile | 10.3% |
ahamo | 6.0% | Povo | 2.3% |
LINEMO | 1.3% | MVNO | 9.3% |
MVNOには、IIJmio・mineo・日本通信などのすべてのMVNOが含まれますが、全体の9.3%のシェアに過ぎません。
大手キャリアでは、NTTドコモ・au・Softbank・楽天モバイルの各社本サービスで62.1%を占め、UQmobile・Y!mobileのサブブランドで19.1%、ahamo・Povo・LINEMOのオンライン専用プランで9.6%、合計90.7%でした。
同様の調査は2024年2月にも実施されているので、2月と9月のシェアの変化を比較してみます。
2024年2月 | 2024年9月 | |
NTTドコモ | 27.9% | 27.3% ↘ |
au | 15.9% | 15.0% ↘ |
Softbank | 10.9% | 10.5% ↘ |
楽天モバイル | 7.8% | 9.3% ↗ |
UQmobile | 8.5% | 8.8% ↗ |
Y!mobile | 10.0% | 10.3% ↗ |
ahamo | 6.0% | 6.0% → |
Povo | 2.3% | 2.3% → |
LINEMO | 1.2% | 1.3% ↗ |
MVNO | 9.6% | 9.3% ↘ |
2024年2月の調査時と比較した場合、docomo・au・Softbank大手3社本サービスの合計では54.7%→52.8%へ1.9%減少、本サービスでは楽天モバイルのみ1.5%の増加、サブブランド合計では18.5%→19.1%と0.6%の微増、オンライン専用プランで9.5%→9.6%で0.1%の増加でした。MVNOは9.6%→9.3%で0.3%の減少でした。
大手3キャリアの本サービスが減少した分(1.9%)は、MVNO(0.3%減)へ行かずに主に楽天モバイル(1.5%増)とサブブランド(0.6%増)、LINEMO(0.1%増)に回っています。
本来であれば、キャリアの本サービスが減少した分は、MVNOが取りたいところかと思いますが、現実的にスマホユーザーはMVNOを優先選択使途は考えていないようです。
楽天モバイルやサブブランドが増加していることには、『より安い料金で済ませたい』意識があるものと推察されますが、かといって『キャリアの通信品質は維持しておきたい』というところかと思います。
シェアを伸ばしているY!mobileの関連記事はこちら▶
サブで利用している通信サービス
NTTドコモ | 22.8% | au(KDDI) | 12.0% |
Softbank | 9.9% | 楽天モバイル | 13.3% |
UQmobile | 5.7% | Y!mobile | 7.5% |
ahamo | 6.0% | Povo | 7.0% |
LINEMO | 1.7% | MVNO | 14.2% |
サブ回線としての利用に限った場合には、キャリア本サービスやサブブランドよりも、料金が割安なキャリアオンライン専用プランや、MVNOのシェアが多くなっています。
ただそれでもMVNOのシェアは14.2%に過ぎず、キャリアの一角である楽天モバイル1社のシェアと大差ありません。最もシェアの少ないLINEMOを加えたシェアを下回ってしまいます。
2024年2月 | 2024年9月 | |
NTTドコモ | 24.0% | 22.8% ↘ |
au | 12.0% | 12.0% ↘ |
Softbank | 10.3% | 9.9% ↘ |
楽天モバイル | 11.2% | 13.3% ↗ |
UQmobile | 5.7% | 5.7% → |
Y!mobile | 7.1% | 7.5% ↗ |
ahamo | 6.0% | 6.0% → |
Povo | 6.9% | 7.0% ↗ |
LINEMO | 1.7% | 1.7% → |
MVNO | 15.2% | 14.2% ↘ |
2024年2月のシェアと比較して見ると、大手キャリア3社本サービスは46.3%→44.7%に1.6%減少、楽天モバイルが2.1%増加、サブブランドは13.1%→13.5%へ0.4%増加、オンライン専用プランは14.6%→14.7%へ0.1%増加、MVNOは1.0%の減少でした。
ここでも大手キャリア3社本サービスの減少分を、楽天モバイルが大半を奪い、Y!mobileとPovo2.0が微増、MVNOは減少でした。
このシェアの増減を単純化すると、大手キャリアとMVNOがシャアを落とし、その大半を楽天モバイルが奪い、残り僅かなシェアをサブブランドとオンライン専用プランが分け合う…といった構図になっています。
実際に筆者も2024年2月から4回目の楽天モバイル回線を契約、現在もLINEMOと併用で継続利用していますが、未だにLINEMOだけしかアンテナが立たない地域もある反面、逆に楽天モバイルの方がアンテナが多い場所も少なくありません。
加えて、Rakuten Linkによる無料通話かけ放題や、段階制料金(勝手に節約)、楽天市場でのSPU+4倍など、ユーザーの痒いところに手の届くプラン内容&付加サービスは使ってみれば納得の使い良さがあります。
またキャリアのサブブランドやオンライン専用プランも目だってシェアを増加させているわけではありませんが、安定したキャリアの通信品質を割安な料金で利用できるという点は「基本中の基本」と感じます。
総合満足度トップはPovo、次いでLINEMO、楽天モバイル
こちらは、大手キャリアの各通信サービスごとのユーザー満足度で、予備調査からMNOを利用している2,700人(各n=300)を抽出し「満足度」を聞いた結果です。
その結果、満足度第1位は757Pで「Povo」、次いで748Pの「LINEMO」、732Pの楽天モバイルでした。さらに、「ahamo」「Y!mobile」が同率で4位、次いでUQmobileと、本サービスをサブブランドやオンライン専用プランが上回った形です。
総合満足度トップのPovo2.0関連記事はこちら▶
余談ですが…
筆者は今年7月まで「Povo2.0」をメイン回線、「楽天モバイル」をサブ回線で使用、Povoのギガ活の仕組みが変更になり、無料で使えなくなったPovoをLINEMOに乗換えて現在に至る筆者的には、この満足度の結果は大いに共感するものがあります。
ぶっちゃけ、筆者のように大容量を使用しない(使っても5~6GB程度)のユーザーにとっては、Povo/LINEMO/楽天モバイルがあれば他はいらないのでは?と思えるほど充実感がある通信サービスと感じています。当然、筆者の満足度も高いです。
2つのプランを契約しなくても、LINEMOのベストプランなら10GBまで2000円そこそこで利用できるのでは?
と思うかもしれませんが、「通信安全保障」(通信障害等の際の通信手段の確保)の観点から見れば、異なる通信網のサービスを複数契約しておくことは重要です。そういった観点を加味すれば、LINEMOだけで10GB使うより、通信網の異なる楽天モバイルと併用することで、料金も大差なく、常に異なる通信網を確保しておくことができると考えているからです。
NPSトップはLINEMO、次いでPovo、ahamo
こちらは「NPS」(Net Promoter Score)の結果です。
NPSとは商品やサービスに対する信頼・愛着を測る指標で、簡単に言うと、そのサービスをどれだけ人に薦めたいと考えるか…です。この集計では「推奨者」「中立者」「批判者」の割合を計測して、推奨者-批判者の割合で順位を決定しています。
①LINEMO | -7.3 | ②Povo | -8.7 |
③ahamo | -17.7 | ④楽天モバイル | -20.0% |
⑤NTTドコモ | -25.3 | ⑥UQmobile | -26.7 |
⑦Y!mobile | -33.7 | ⑧au(KDDI) | .34.0 |
⑨Softbank | -41.0 |
ユーザーが最も人に薦めたいと考えている通信サービスは「Povo」、次いで「LINEMO」という結果でした。この2サービスのみが、推奨者-批判者の差が1ケタでした。3位はahamoですが、1位のLINEMOとの差は10ポイント以上あり、少し差が開いています。
4位には楽天モバイルが入り、各社のオンライン専用プランと楽天モバイルがNPS上位を独占した格好です。
大手キャリア通信サービスのシェアが90.7% まとめ
大手キャリアの本サービス、サブブランド、オンライン専用プランの合計シェアが90%を超え、MVNO全社のシェアが10%を切る現状をみてきました。
さらに、ユーザー満足度でもNPS指数でも、キャリアのオンライン専用プランと楽天モバイルの評価が高く、しかも少しずつ上昇している様子も見ることができました。
筆者は元々MVNOが好きでした。
2014年にauからBIGLOBE SIM(現BIGLOBE Mobile)に乗換えたのを皮切りに、常に「速くて安いSIM」を探して延べ15社20プラン以上のMVNOを利用してきましたが、昼時の速度低下や通信の不安定さなどで安心して利用することができず、常に「速くて安いSIM」を探し続けている状態でした。
そんな中、ahamoやPovo、LINEMOが登場し、いよいよMVNOに見切りをつけた…という次第です。
Povoにギガ活を活用することで、毎月の通信料を実質無料にできることがわかり、2年近くもPovoによる通信無料運用を続けてきましたが、2024年の今夏、「auPay」方式のギガ活が終了した事を受け、メイン回線をLINEMOに移転しました。
楽天モバイルはプラチナバンド獲得で通信状況の好転が見込まれたため、今年2月からサブ回線として利用を開始(4回目の契約)しました。
そして今、LINEMOと楽天モバイルを併用して月間の料金は各々3GB未満で2,068円/6GBです。何より気に入っているのは、通信速度や通信品質などを気にすることなく、料金プランの存在を意識することなくキャリア品質通信を気軽に利用できている点です。
正直、MVNOの存在は全く気になりません。MVNOに乗換えよう、併用しようという気にはまったくならず、LINEMO+楽天モバイルで快適に理想に近い運用ができています。
余談ですが、こんなことを言っては語弊がありますが、自分が良いと思っていないMVNOサービスをアフィリエイト目的で「いいですよ~」と紹介しようという気にならないのです^^; 皆さんにはどうでもいい話しですが、当ブログにMVNOの記事がないのはそういう訳なのです。
それでは今日はこの辺で。